道心有る人を名づけて国宝と為す
仏さまの種まき

道心有る人を名づけて国宝と為す
伝教大師 最澄

この言葉は、最澄が天台宗を開かれる際に記された「山家学生式」(さんげがくしょうしき)の 一文であります。
これを原文のまま書きますと、「國寶何物 寶道心也 有道心人 名爲國寶(国宝とは何者ぞ 宝とは道心なり 道心ある人を 名づけて国宝と為す」こうなります。
今は、国宝と言いますと国から指定を受けた仏像や建物などと思われますね。

ところが、本当の国宝とは一体何か。
それは、道心つまり仏道という道を求めている人だと言うのです。
先人たちは何も宝物を残したくて仏像や建物を残したわけではありません。
己を捨て他のために尽くすという菩薩を作りたかったのです。
そしてその菩薩が、本当の国の宝なのであると教えてくれています。

同じ山家学生式の中に、「道心の中に衣食あり 衣食の中に道心なし」とあります。
人間の生きる軸と言うのは、道を求めるという菩薩像にあるわけです。