世の中は 喰うて稼いで寝て起きて さて そのあとは 死ぬるばかり
仏さまの種まき

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さすが一休さん、と言った言葉ですね。皆さんは、何を当たり前のことかとお思いかもしれませんが、この言葉には仏教の真髄が隠されているのです。大事なポイントは、「世の中は」という表現で、我々が生きるこの世という意味ですが、仏教では「世間」や「娑婆」とも言いまして、迷いの中にいる世界を指します。そして、この迷いの世界とは、「生死(しょうじ)」と言いまして、(生まれて死ぬ)という意味です。はたして、人間とは、本当に生まれて死んで行く、ただそれだけの存在でしょうか。仏教はこの「生死」を超えて、「死生」という(死んで生まれる)ということを教えます。これは、先ほどの「世間」から一歩出た世界「出世間」の世界に参ろうという仏教の精神であります。(生まれて死ぬ)ではなく、(死んで新たに生まれる)という仏の世界があるのです。