本当に生きる
仏さまの種まき

よくお浄土はあるかないかと聞く人があります。
しかしお浄土とは、あるなら信じるし、ないなら信じないというような世界にあるのではありません。
そのように求めるところにお浄土はありません。

生きるという問題に関係するのがお浄土なのです。

お浄土を「修行安心の宅」と言われる様に、心の安んずる場所ということです。
もう少し言えば、安んじて苦労のできる場所、本当の生活が営まれる場所というのがお浄土なのです。

しかし、私たちは生はあるが、その生を本当に生きているとは言えるのでしょうか。
人間は決して損が嫌いなのではなく、苦労が絶対に嫌だという生き物でもない。
むしろ問題は、そういう心を実現する場所が見つからないことであります。
自分の在り方を見失っているのであり、それが不安なのです。

今回の震災で皆様それぞれに、自身の人生観に大きな影響があったことと思います。
これを機縁に、「本当に生きる」とはどういうことであるか、一緒に考えて参りましょう。